北穂高岳東稜

7月17日(木)から週末の三連休にかけて北穂高岳東稜を主目標とする山行。一回生は本番デビューとなる。17日、夜行バスに乗り込み、翌早朝、松本市着。バス下車後、突然現れた老ドライバー。その悪くない話に乗せられ、タクシーにて上高地へ向かう。彼による長野弁は、初めて耳にする筆者を喜ばせた。予定より早く上高地に到着したわれわれは、食担のはりきりのため予定より重くなった荷物を担ぎつつも、幸先の良いスタートを切る。ただし我々は知っていた。この先、明るい未来など存在しないことを。
<ここで山岳部員一回生S氏の証言>
はい、最後までこの調子はつらいもんで、はっきり言わしていただくとね、要するに天気が悪かったんですよ。18日は特に支障なく涸沢のテン場に着いたんですね。でもその夜、うん、十時くらいだったかな。テントでシュラフに潜り込んでると、突然けたたましい物音に目を覚まされまして、何事かと思うと、雨粒が馬鹿みたいにせわしくテントをたたいてるんですね。
という長い前置きでした(笑)
北穂高岳東稜
日程:2014年7月17日〜20日
山域:穂高
天気:主に雨
メンバー:外園、笹瀬、早川、酒井
17日:晴れ/雨   入山、涸沢BC
18日:雨    雪上練習
19日:雨    奥穂高岳アタック
20日:晴れ   北穂高岳東稜、下山
昨年も同時期に穂高に入山した時、あいにくの雨で諦めた北穂東稜のリベンジを兼ねての山行。
初日、入山日は何と晴れ‼︎上高地から明神岳が見えるではないか‼︎
しかし、天気予報では午後から雨。もう1日早く入山していれば…と後悔。
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明神岳と早川
2日目、朝から雨に降られる。天気を見て涸沢カールの前穂北尾根側の雪渓で雪上練習を行うが、やはり雨に降られ、寒さに震える…
一回生も始めての雪上歩行に戸惑っていたが、徐々に慣れてきた様子。雨の中、楽しそうに滑落停止訓練をしている
( ̄◇ ̄;)
3日目は北穂東稜アタックの予定だったが、雨が断続的に降り東稜はガスり続けている。とても登れそうにない…相変わらずご機嫌斜めな穂高さんである。
仕方なくアズキ沢からの奥穂高岳アタックに変更するが、これまた取付きでガスに阻まれ、ザイデングラードから登ることになる。奥穂高岳山荘でシアトルから来たアメリカ人に会う。どうやら、この天気で大キレットを越えてきたようだ。
随分と軽装で奥穂高岳まで走って登って行った。タフすぎるアメリカ人‼︎
ガスって何も見えないけれど、とりあえず奥穂高岳山頂を踏み、寒い〜と叫びながら急いで下る。
夕方、なんと雲が切れ始め青空が見えるではないか‼︎久しぶりの青空に全員大興奮。明日まで天気が持ってくれるように祈るのみである。
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久しぶりの青空に大興奮!!
4日目、朝から北穂高岳が見える。やっと北穂高東稜へのチャンスが訪れた。これを何日待ったことやら…
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雲海に浮かぶ常念岳
朝4時ごろにテン場を出て、南稜登山道を進む。南稜へと取り付くハシゴの手前で登山道から離れて北穂高沢の雪渓をトラバース。写真で赤くなっている、草付きのルンゼに取り付き、東稜の最低コルの一つ上に出る。ここから北穂東稜が一望できる。先は長いが、天気の崩れは思ったより早そうだ。先を急ぐ。ここから東稜の核心部、通称ゴジラの背まではガレた尾根を歩くだけで、踏み跡がついている。
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これから登る北穂高東稜
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上から見たゴジラの尻尾!?
核心部のゴジラの背は外園さんリードで突破。1ピッチ、ロープを出す。難しくは無いが高度感があり、ちょっと怖いリッジである。
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核心部のゴジラの背
ゴジラの背から東稜のコルまでは懸垂で降りたが、後続の単独者は普通にクライムダウンしていた。
後は北穂高岳山荘までガレた尾根を登るのみ。8時半に北穂高岳山頂。山頂はガスって何も見えなかったが、達成感は大きい。一回生にとっては初めての本チャンである。
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北穂高岳山頂で記念撮影
午後から天気が崩れそうなので、南稜から急いで下る。いくら登山道とはいえ、岩場で雨に降られたくはない。珍しく穂高さんはご機嫌で、雨に降られることなく下山することができた‼︎
今回の山行は雨耐性がついて以前よりも生活技術的に確実に強くなれたと思う。粘っていいこともあるものだ。来年はもっと雨の少ない時期に穂高に行きたい。
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途中の晴れ間で見えた槍ヶ岳と南岳
笹瀬記

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