スキー合宿 2020年2月

合宿

 1回生の清水です。笹ヶ峰ヒュッテの周辺で行ったスキー合宿の報告をします。今回は小黒姫、火打、笹ヶ峰のピークハントを行いました。メンバーは川畑さんⅣ、井ノ上さんⅣ、ハクサイさんⅢ、谷野さんⅡ、ヒモⅠ、ホテシⅠ、清水Ⅰの七名です。

1日目 入山

 20kgくらいありそうな重荷を背負ってスキー場のリフトに乗り込む。こんなものを背負ってスキーができる訳ない。転んだら終わりだ。

終わった…

 慎重にゲレンデを下り、林道に合流。ここから例年は地獄のラッセルが始まるようだが、今年は時期も違うこともあり、除雪車が入っていたらしく、あっという間にヒュッテ付近までたどり着く。ここで、埋没訓練とショベリングの練習を行う。初めて雪の中に埋まった。寒い。苦しい。雪に埋もれると全く身動きがとれないのだ。雪崩の恐ろしさを実感する。

埋もれた人をプローブで突いてみる

 雪面観察とピットテストを行ったあとヒュッテに入る。夕食はハヤシライスと谷野さんによる肉炒め、ハクサイさんのそばであった。ハクサイさんは米が14合あるのにもかかわらず、意気揚々と乾麺400gをゆであげてしまった。ハクサイさんは三日間にわたって、水を吸って肥大していくそばとの死闘を繰り広げるのであった。

ハヤシライスはとてもおいしかった

2日目 小黒姫アタック1日目

起きると雪が舞っていた。ダムを越えて、ナビゲーションしながら進み、途中から登山道に合流した。テントサイト手前の登りでは谷野さんが「1回生にラッセルというものを見せてやらあ」といって、すさまじい勢いで上がっていく。さすがの馬力である。夕食はホテシの作ってきたペミカンカレー。乾燥野菜を使った新しい試み。野菜の食感があって良かった。

 

3日目 小黒姫アタック2日目

 頂上を目指して出発。上回生のラッセルでスムーズに登頂。久しぶりのピークハント成功。恥ずかしがりながらエイオー。

上部の様子

 ここから長い滑走。僕は一度滑るごとに転倒する勢い。井ノ上さんも1回、断末魔の叫びを上げて、藪に突っ込んでいった。ストックとシールを失いながらもテントサイトに到着。装備を回収して、下山が始まる。

 苦しい長時間行動となったものの、なんとかダムまでたどり着く。ダムからはヒュッテへのレースが開幕。谷野さんとヒモが最初にスタート。ハクサイさん、僕と続く。ヒモはオーバーペースとシールの不調がたたり、4位に転落。谷野さんの優勝。僕は2位に入った。

 夕食は250gもの巨大なハンバーグ。ハクサイさんは二日間の間に汁を吸って、肥大しきったそばと格闘し、なんとか完食した。他のメンバーは、そばに触れようともしなかった。

 

4日目 火打アタック1日目

 前日の12時間行動をうけて、時間を遅らせて出発。黒沢橋を当てて、十二曲の急登へ。ここでもハクサイ、谷野両氏のラッセルが光る。我ら1回生もラッセルに加わるも、ルーファイが下手なので、セカンドにルートを引き直され、あえなく交代となる。情けない限りだ。十二曲を登り切ると、黒沢岳の稜線に出る。ここで、火打と焼山が一望できた。たまたま先頭を歩いていた僕はトレースのない雪原とその奥に見える秀峰の絶景を堪能できた。今回の山行で一番心に残った風景である。

火打と焼山の絶景  「木刈り取ってやりてえなあ」by谷野

 黒沢岳のピークから滑走開始。スタート3分で3回転倒。転んで起きるのは精神的にも肉体的にもつらいものがある。どうにか下りていくと、平らになっていて、見渡す限りの銀世界。来て良かったと心から思える瞬間。

 ようやく高谷池ヒュッテに到着した。ヒモが作ったペミカンシチューを食べて、快適な夜を過ごした。

 

5日目 火打アタック2日目

 穏やかな晴天。火打の頂上を目指して出発。途中、目の前をうさぎが走り去っていった。あんなに早く雪面を歩けたらいいな。

 稜線に出ると強風が吹いていた。1回生には初めての経験であったが、耐風姿勢が必要になるほどではなかったので、特に問題はなかった。むしろ、このくらいの風にさらされていた方が、登山をしているという実感が持てて良い。今回の山行で一番楽しい箇所であった。山頂直下でアイゼンに履き替えて上る。上回生だけならスキーで行けたのかもしれない。ここを滑ることができたらさぞかし気持ちいいだろう。稜線を上がってついに頂上に立った。至福の時間。強風に吹かれながら記念撮影とエイオー。すぐに下山。

雪に埋まっていたので掘り出した

焼山をバックに  二人足りない?

 黒沢岳のピークから滑走。僕にとってはここからが地獄だった。上回生とヒモは華麗に滑っていくのだが、僕は30回くらい転倒し、数回顔面から落ちた。情けないのだが、装備を少し4回生に持ってもらった。ここまで転ぶと起き上がることだけはうまくなる。『スキー転倒時マニュアル』でもかいてみようか。

 黒沢橋までたどり着いたときにはすっかり疲弊してしまった。そこからはハクサイさんの「スーパールーファイ」が発揮され、林道までシールをつけずに出られた。ここからシールをはいてヒュッテまで帰るのだが、それを面倒くさがったヒモが、じゃんけんで負けた方がシールをつけて勝った方をヒュッテまで押して帰るということを提案してきた。臨むところだ。数回あいこが続いた末、僕が勝利した。こうしたものは大体言い出しっぺが負けるのである。後ろから板をストックで押され、何も力を入れずに上りの雪面を滑っていくのはとても気持ちよかった。ヒモはこの合宿でこれが一番きつかったらしい。

 ヒュッテに帰ると、OBのグズラさんが迎えてくれた。夕食はキムチ鍋と肉炒め。翌日の沈(雪練)も発表され、ふたつのピークハント成功を祝す宴となった。

 

六日目 雪練

 朝ヒュッテからサルが見えた。グズラさんは動物やその足跡をよく見つけて教えてくれる。しきりに写真を撮っていた。

 午前はホワイトアウトナビゲーション。ヒュッテ近くの神社と小屋を目標にして練習した。ホワイトアウトとはほど遠い快晴で目標物も見えてしまっていたが、練習になったと思う。ここで、練習についてきた川畑さんが突如「グズラさんに撮られちゃう」といいながら四つん這いになって歩き出す。今朝のサルに感化されたらしい。山岳部に四年もいるとこうなってしまうのだろうか。山岳部やめようかしら。

 午後は雪崩捜索シミュレーションとイグルー作り。

完成したイグルー

雪練のあとは木登り

 夕食は具を足したペミカンカレーと4回生が作ってくれたサイコロステーキ。とてもおいしかった。あした井ノ上さんが下山するらしい。皆より早く起きて出発するという。それを聞いて川畑さんが井ノ上さんに「朝使った食器はあとで洗っておくからそのままでいいよ」といった。漢である。こういうことをさらりと言える人になろう。4足歩行をしていれば僕もなれるかもしれない。

 夕食後、午後作ったイグルーでビバーク訓練を行う。ただひたすら寒さに耐えて寝るという過酷な訓練である。最初は装備を着込んで温かかったのだが、吹き込んでくる風に徐々に体温を奪われ、2時間ほどたつと寒さで目が覚めた。ヒモとしりとりをして、残りの時間を潰し、ノルマの3時間が経過するとすぐ撤収してヒュッテに駆け込んだ。

 

7日目 笹ヶ峰アタック

 今日は1回生だけでルーファイを行う山行。上回生もついてくるが、ただの石ころとして無視してよいらしい。早速林道の分岐で間違えかけるが、すぐに気づく。そのあともショートカットに失敗したが、修正して尾根にとりつくことができた。雪は固くなっていてラッセルもなかったので2時間足らずで登頂。復路は滑走した。最後、林の中を木々の間をぬって滑っていくところはとても気持ちがよかった。今山行で唯一滑走を楽しめた箇所であった。

 ヒュッテに帰り、1.5kgのパスタを消費すべく、パスタコンテストが行われる。川畑さんはニンニクとオリーブオイルでサイゼのアーリオ・オーリオを再現。ハクサイさんはキノコをふんだんに使った和風パスタ。レシピをググっていたことから、失格になりかけたが、調理過程を変えていることから参加が認められた。谷野さんは梅干しをつかってアクセントを加えたパスタ。僕はナポリタンを作った。投票の結果、ハクサイさんの和風パスタが失格の危機からの逆転優勝。キノコのうまみが出ていておいしいと評価された。

 午後は雪崩捜索シミュレーションをした。正確なビーコン捜索と適切なリーダーシップが課題である。

 夕食はすき焼き。おいしかったが、マロニーが汁を吸って重かった。初日のそばを彷彿とさせるものであった。食後、皿洗いを巡ってトランプ大会が行われるなど最後の夜を楽しんだ。

 

8日目 下山

 残った食料を消費するため、朝からすさまじい量のご飯を食べたあと、下山。グズラさんに近くの山々を紹介してもらいながら林道を下る。温泉で汗を流したあと、帰路についた。

最後まで読んで頂きありがとうございました

投稿:清水

 

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