比良αルンゼ

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日程・行動概要:2023128日 志賀~中谷~αルンゼ~クロトノハゲ~志賀

メンバー・学年:K岡Ⅱ(記)、スナメリⅡ、ラムちゃんⅠ

京都で大雪が降った直後、比良のルンゼを目指した。

中谷で雪に埋まるラムちゃん。

 

F2を胸ラッセルで越える。

 

F4を目指してラッセル。ラッセルは続くよどこまでも。

 

日没後のクロトノハゲにトップアウトした。

 

[山行記録]

5:30部室集合、車で堂満ルンゼを目指す。雪が降っている。1/24の大雪で降雪は終わったと思っていたが、さらに京都で5㎝ほど積もったもよう。大事を取って北上せず、山科経由で比良へ向かう。湖西に入ると完全に雪国になった。降雪によりバイパスは通行止め、車が下道に集中している。目の前で車がスリップする、スタックする。先を思いやると同時に渋滞につかまった。スタックする車が続出したようで、テールランプが長蛇の列をなしている。秒速5㎝くらいは進んでいた気がするが、後100mで左折して渋滞から抜けるというところで忍耐を切らし、すいている南下方向の道路で戻ってαルンゼに転進した。志賀IC付近で駐車場を探すが、どこも雪原になっており、ようやく車を止めて出発したときは9:00になっていた。ここまでで割と萎えたが、気を取り直して雪道を歩き始めた。

アプローチの林道で既にすね~ひざラッセル。ワカンをつけるが湿雪で重い。ひたすら歩いて出合の堰堤を左岸からまき、ようやく雪原となった中谷に降りてαルンゼを見上げた。出合の滝F1は上部に少し岩が露出しているものの、ほとんど雪に埋まって雪壁と化している。すごい積雪量だ。時すでに10:40、中途引き返しになりそうだが行けるところまで行くつもりで準備。ワカンを外し、アイゼンに履き替え、スノーバーとデッドマンをガチャガチャさせながらK岡リードでロープを出す。1段目は腰ラッセルで通過。2段目は右からまくように登る。スノーバーを刺してみるが引っ張ると抜けるので雪下の木の根を掘り出してランナーとし、2段目も突破。クライミングではなく、ラッセルとしてきつい。フォローの二人は雪の階段を登ってきた。おそらくこの先の滝も雪に埋まり、ノーザイルでワカンで登る方が楽だろうと判断してザイルとアイゼンをしまい、再びワカンに履き替える。

ここからラッセル地獄。平らな場所で腰、傾斜がつくと胸~肩のラッセル。これまでで最も深いラッセルをまさか比良で経験するとは想像だにしなかった。非の打ち所のない、不条理で完璧なラッセルだ。一歩ごとに手で崩し、膝で崩し、足で崩し、雪ダルマになって登る。雪は降り続いている。時折樹上からの落雪で周囲が雪煙に真っ白に消える。前身速度は明らかに秒速5㎝以下。かなりきつい状況で敗退が濃厚だが、14:30に標高差で半分登れていなければ引き返しと決め、行けるところまで行くことにする。ラッセルを3人で回し、F2を突破。滝下の雪は踏み抜きやすく、ラムちゃんは苦労する。側壁に積もった雪が崩れてくるかもしれない場所が続き、長居したくない。面発生雪崩は起きそうにないが、点発生的なスラフはありえるか、しかし割と湿雪か、速く引き返すべきか、考えを巡らせながらなおもラッセルを続けると、夏に左手のチムニーを登ったF3を抜けた。ドラッセルにしては悪くないペース。さらに20分後には15mほどの雪壁のF4基部に着いた。この時14:40。夏の記憶によればロープを出したのはここが最後、後は難所もなく割と短時間でトップアウトしたはず。稜線上に出るのは16:00にはなるかもしれないが、それでも明るいうちにトップアウトして登山道を下り、18:00ごろには下山できるのと見通しを立て、上に抜けることにした(この判断が下山遅れの決定打になった。F4はルンゼの中間あたりにあったようだ。記憶はあてにならない)。

F4の直登を試みるが、岩に着いた薄い雪が崩れて足は決まらず、エイド用のスリングをかけた木の根も体重をかけると折れた。アイゼンに変えてロープ出せば行けるが、ランナーとりにくいし時間もかかるので、滝の右手をまき上ってそのまま左岸の尾根に出ることにした。トップのスナメリはサクサクラッセルで行くが、ラムちゃんは雪のスタンスを崩して地面を露出させてしまい、何度もずり落ちる。K岡が2番手で上まで登り、肩がらみでビレイしてどうにか登らせる。そこから尾根に出るまでもう1ピッチ同じ状況。スナメリがトップでラッセル、K岡が2番手でロープ出して腰がらみでビレイ。スナメリが落とすスノーシャワーを浴びながらも何とか登り、左岸の尾根上に出た。急でもろい雪壁は体重を分散させてソフトに登るが、これが初めての1回生には難しかったようだ。想定出来ておらず、反省。

割と苦労したが、尾根に出ればあとはクロトノハゲまで歩くだけと思っていたのが大間違いだった。少し休んでから歩き出すと行く手にはキノコ雪の群れ。シャクナゲの密藪がスノーモンスターとなってゆく手を阻む。雪を崩して密藪を漕いだり、踏み抜かないようそっとキノコ雪の上に乗りこんだり、キノコ雪をまくラインどりを考えたり。相変わらずラッセルは腰以上。深いラッセルだけでなくキノコの処理まで必要なり苦労は増すばかり。左に見えるルンゼ右岸の尾根はずっと上まで続き、距離が短いはずという想定も的外れと知る。しかしここまで来ると、上に抜けた方がまだましだろう(というか今来た場所を引き返す気が起きない)。次第にメンバーの疲労の色も濃くなり、速度は上がらない。スピードアップのためラムちゃんをラストに入れ、K岡とスナメリでラッセルを回し、キノコを処理し、必死で進む。町の灯りが瞬き始めた。終了点はまだ遠い、メンバーは疲れてる、日没が迫っている。この時の絶望感は壮絶だったが、沈んだら終わりなので余裕を装う。目前に踏み抜き必至のでかいキノコがあらわれようが、月が出ようが、鼻歌交じりにラッセルして「楽しい~」などと言っていた(実際少し楽しかった)。完全に日が沈み、ヘッドライトを出す。下山が20:00過ぎる可能性が出てきたのでひとまず下界にその旨連絡して歩き出す。なおラッセルを続けると植生が減り、キノコは少なくなってきた。いい兆候。岩場をまいたりして登り続けると尾根の傾斜が緩み、前方にスキー場の灯りが見える。ほどなくしてクロトノハゲ付近にでた。

標識が埋没して登山道の位置がよくわからないが、あとは尾根上を下るだけだ。永遠に続くかと思われた登りは終わった。方向を見定めながら下りラッセルを続けると登山道に出た。トレースはなく、相変わらずひざ程度のラッセルだが、ルーファイの心配はもうない。ただひたすら下る。半分ほど下ったところでトレースに合流し、足が潜る程度の楽な下りになる。やがて登山道は終わり、雪の道路に出た。下山連絡を入れたのが20:10。その先の道路もワカンで足を潜らせながら歩き、車にたどり着いたのは20:50だった。

反省が多い山行となったが、同時にある意味で本当に素晴らしい山行であった。2度とやるのはごめんだが。

 

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