滝谷出合い~第4尾根

クライミング
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2024年6月8日、9日に滝谷へ行ってきました。メンバーはドロ(記)、とうか、ラムの3回生3名です。
今年は劔尾根へ行きたいと思っており、そのための雪渓処理や荷物を背負ったアルパインの練習としていこうかと調べ始めましたが、調べるうちに難易度、リスクが高いことがわかりこっちが本番のように思えてきました。。。そんなドキドキの行動記録をどうぞ。

1日目(6月8日)

新穂高駐車場 2:10
滝谷出合い  4:50
雄滝     6:00
雄滝落口   9:40
滑滝          10:00
滑滝落口   11:30
無名滝落   12:50
B,C沢合流点     13:30
C沢二股(の手前)15:00
スノーコル(の手前)15:40         (計13.5時間)

雪渓は9時頃から溶け始めるというアドバイスを受け、朝1時半おき2時出発をかまし順調に林道を歩く。2時間半ほど歩くと滝谷避難小屋だ。滝谷でなくなった人の幽霊が出るという噂を聞きこれから始まる危険なルートを前に緊張が高まる。ただ意外にも心では絶対にいけるという根拠のない自信があった。日が昇ってきて天候も晴れ時々曇りで最高のコンディションである。滝谷に入り300mほど歩くと早くも雪渓が出てくる。いくつかの小さなクレバスを避けつつ進むと大きく雪渓が割れている箇所が出てくる。やはり2017年の10日後の記録よりかは雪渓は少なそうだ。左岸へ巻くことも考えたが時間がかかりそうなので雪渓が割れている真ん中を攻めることに。雪渓の間を縫うように歩き、最終的に5mほどの壁を乗り越え再び雪渓へ乗り上げた。

雪渓が大きく割れている。奥に見えるドームが美しい。

右手にピッケル、左手で朝の冷たい雪をつかみながら登攀!

少し歩くとすぐに雄滝が出てくる。ここまではかなり順調でこのままいけば今日中に第四尾根を抜けられるのではないかと野望を抱く。しかし、雄滝の巻でかなり手こずる羽目になってしまう。1ピッチ目はアイゼンピッケルで登れるだろうと鷹を括った僕が取りつき始めたが、思ったよりも壁が垂直で足場がなく30分ほど悪戦苦闘した末にクライミングシューズに履き替え中間尾根の末端の方まで戻りやっと登ることができた。45mほど出して高さ的には滝の落口より少し低いくらいである。そこから尾根をノーロープで登り、2ピッチ目で滝の落口へトラバースすることに。距離的には60mちょいありそうだったのでロープを連結して1ピッチで落口へ行こうとする。ラムちゃんリードで進むが流れが悪くロープが引けなくなったため50mほどで切る。3ピッチ目はとうかリードで10mほどトラバースして落口へ辿り着いた。雄滝を越えるのに3時間半ほどかかり自分たちのルーファイやロープの扱いの基本技術がまだまだであると思い知らされる。

雄滝と左の中間尾根

2P目。ロープの流れを工夫すれば3P目を出さずに行けたかも、、

雄滝からは雪渓が安定し始め雪渓上を順調に歩いていく。鳥も鳴かない滝谷と言われているが沢山のツバメたちの鳴き声が季節を感じさせてとても気持ちが良い。途中のゴルジュもリアルタイムで落ちてくる落石はなく難なく突破する。その後雪渓で半分ほど埋まった滑滝に着く。滑滝1ピッチ目はドロリードで左岸巻きをしようと左岸を懲りずにアイゼンピッケルで登り始めるがまたまた壁がキツく途中で動けなくなってしまう。仕方なハーケンを打ちロワーダウンで一度降りることに。(残置はとうかがクライミングシューズで回収)結局アイゼンを脱ぎ水線の右側を通り突破したが、自分の登れる基準がうまく把握できていないこととオブザベの雑さを痛感した。その後滑滝すぐの無名滝をとうかリードで水線の左側を登る。ここはフリーチックでとても気持ちの良いピッチであった。

なぜか左岸巻を試みる。そっちに行ってはダメ!

やっぱ水線沿いでした。。

ここからは沢合流地点(オセロ岩)までひたすらに雪渓を詰め上げる。オセロ岩が近づくにつれ滝谷の全ての尾根の荘厳な姿が近づき、きて良かったなと心の底から思う。特に雪渓を詰めることは去年からの夢であったためテンションが最高峰に。C沢に入ると傾斜がキツくなってくる。途中で二股を2度勘違いして最終的に二股の一個手前の右岸のバンドから第四尾根に乗っこした。下から詰め上げると同じようなサイズの雪渓のある二股が何個かありわかりにくい。スノーコルまではリッジを進みテントがギリギリ立てられないくらいのスペースで飯を食いフライをはり確保しながらビバークのような形で就寝した。就寝後に大規模な岩雪崩の音が聞こえ運の良さに恵まれてることを実感する。

最高の瞬間!!これがあるからやめられない!

いつも通り酒を飲み就寝。狭いホテルだ。

2日目(6月9日)

スノーコル                                           4:40
1P目(大まかなフェース)                5:00
2P目(フェース続き)            5:40
3P目(A,Bカンテ)                            6:10
4P目(Cカンテ、ピナクルへ) 7:35
5P目(ピナクル、ツルムへ) 8:40
6P目(フェース)                             10:20
7P目(Dカンテ)                               12:00
第四尾根頭                                           13:20
新穂高駐車場                                        18:40 (計14時間)

あまり寒くもなくぐっすり眠れるかと思いきや落ちるのが心配で何度か目を覚まし睡眠不足気味で行動を開始する。少し歩くと昨日よりもスペースの大きい場所を確認しここがスノーコルであると再認識した。5時に1ピッチ目のフェースをラムちゃんが30mほどリード。しかし落石が止まらない。幸い小石レベルのものであったが登ってる時に加えロープを引く時に地面と擦れ落石が起こっている模様。2ピッチ目もフェースをとうかリードで30mほど。1ピッチ目に比べると落石が減ってきて安心する。3ピッチ目はドロが60m目一杯伸ばしてAカンテ、Bカンテを同時に突破する。昨日登ってきた雪渓や笠ヶ岳をバックに気持ちのいい登攀だ。トポではⅢ級とあるが荷物を持つとついついエイドをしたくなるほど恐怖心が強くなる。

Aカンテ、Bカンテからの景色!

 

50mほどリッジをノーロープで歩きCカンテの基部につく。見上げるとピナクルがちょうどロープが届くかどうかくらいのところに見え、そこを目指しラムちゃんが登り始める。Cカンテを軽く突破し、その先もカンテを登り続け、60m伸ばしたがピナクルまでは辿り着かずカンテ上の狭いスペースでピッチを切る。見た目はカンテではなく右の凹角の方が簡単そうであるがどうなのだろうか。5ピッチ目はドロリードでカンテを避け凹角に少し戻りピナクルの左の窓を越える。その後継続でツルムの頂上まで登ろうとしたが途中でロープの流れが悪くなり30mほど伸ばしたところでピッチを切らざるを得なくなる。まだまだ自分のアルパイン技術が不足していることがわかり悔しい。その後、ツルムまでは緩そうに見えたため、ピッチを切ったところから一段だけとうかが先に登り引き上げてもらいツルムへ向けノーロープで登る。この時、ロープをすぐに畳まずにツルムまで行ってから畳んだりしたこともあり思ったよりもぐだぐだ時間がかかってしまう。正直普通にロープを出した方がスムーズだったかもしれない。全体的にアルパインの判断の技量が足りていない。その後ツルムから20mほど懸垂をするが落石があるため懸垂後のコルでしっかりセルフを取り確保する。

Cカンテからピナクル

6ピッチ目はラムちゃんリードで40mほど進む。5mほど登ったところのフェースがかなり難しく手こずる。今まで1番難しくⅣからⅤ級ほどはありそうだ。その後のフェースは落石が激しくぬいぐるみサイズの岩がどんどんと落ちていく。ドロがフォローで登った時に岩と岩の間に挟まるぬいぐるみサイズの岩に手を伸ばした時にその上の岩を含め2.3個落ちてきて、少し当たるも足場がありなんとか耐えることができた。滝谷は常に落石があるためルートの難易度も常に変わってくるのだと感じた。7ピッチ目は核心と思われるDカンテをとうかがリード。トポでは10.a(エイドでⅣ)とあり、スリングが垂れていたが、明らかにカンテ沿いの方が登りやすそうで、そこをしれって通過する。その先はほぼ歩きでロープを40mほど伸ばして切る。難易度的には6ピッチ目の方が難しかった。ここまでくると稜線へと繋がる穏やかな道が見え、ここまで何事もなくこれた安心感で大きな声が出る。みんな緊張が解け会話も弾む。登山道に出るまでは気を抜けないと思いつつも、思わず笑みが溢れる。

6P目(ここが個人的1番の核心)

その後稜線へ出て握手を交わし登ってきた滝谷出会いから第四尾根を見遣る。登攀中にC沢右股の左岸が大きく崩壊し大きな岩と土砂で覆われている雪渓が見える。本当にここまでこれたのが運が良かった。登攀中はこんなリスクのある山行は2度としないと思っていたが、やっばり登り終えるとまた行きたくなるから本当に危ないなと思う、、その後は稜線を歩き涸沢岳を通過し奥穂高山荘から白出沢を降る。200mほど降ると雪が出てきてグリセードでひたすら降りていく(落ちていく時もあるが)。いつもなら楽しい雪も疲労からかかなりしんどく感じる。白出滝手前で登山道に合流し、時間読みよりもかなり時間がかかって下山し、しっかりと予想を立てておけばよかったと感じる。何はともあれ全員無事に下山できてよかった。

小雨の降る中グリセード!スキーのうまいとうかはグリセードもうまかった

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