爺が岳東尾根

積雪期縦走
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2025年1月17日、18日に爺が岳東尾根へ行ってまいりました。
メンバー:ドロップ(3)、とうか(3)、ハンケツ(2)

大変良いコンディションの中ラッセルを存分に楽しめたGoodな山行でした。

行動記録

1月17日

8:00 鹿島山荘跡発

12:40 JP

14:20 P3

16:40 雪洞完成

 

1月18日 

5:20 P3発

6:20 P2

7:30 P1

9:00 山頂⇒9:30 下山開始

10:30 P3⇒11:00撤収

12:20 標高1430付近でイグルー作り⇒14:30撤収

15:00 下山

行動内容

17日

 17日は低気圧が通過した後の弱い冬型であったが7時ころには晴れており、さらに18日からは高気圧に覆われ絶好の登山日和が見込まれる。新雪のラッセルが予想され、白馬の雪崩ネットワークでは危険水準であったため、そのリスクをパーティー内で共有しつつ、いざ出陣。と思われたが、とうかのビーコンのバッテリーがなく最寄りのコンビニまで戻る羽目に。みんな事前に電池サイズとビーコンのスペックを確認しておこう。気を取り直してラッセルを開始する。平日ということもありトレースゼロ。入山者は僕らだけの最高のトレーニング環境だ。尾根へ乗り上げるまでの序盤の急登がもっとも斜度があり、雪崩が怖いなと思っていたが方向にもよるがクラスト層の上に新雪が30㎝程度。新雪はまだしまりきっていないので雪崩なくいけそうだ。斜度によっては腰ほどまで埋まりはしたが、クラスト層以下の雪はしっかりしまっており体力さえあれば進むことができる。少し私がおくれかけたことが悔やまれるが、ほぼ順調に高度をあげていく。全体で休憩をとることなくラッセル先頭者が直後に休憩するスタイルでどんどん進みJPまでたどり着いた。がっつりラッセルとなりながらも時間読みより早い。目の前には爺が岳、右手には鹿島槍が存在感をもってそびえたつ。調子が良いので、P3まで上げることに。地図読みを間違えJPを11:30通過と勘違いしていたため(実際は12:40)、思ったよりも時間かかるなと思いつつP3に難なく到着することができた。東西尾根は確かに北に雪庇ができていたり南にできたいたりしており、斜面の状況をよく見なければいけないと実感した。P3直下あたりより、風が強くなり雪面もクラストしていた。この風の強さでは凍え死ぬし先日の遭難パーティーみたいになると思い、P3直下で雪洞を掘ることに。ひたすらに2時間ほどほって3人が十分に寝られるほどの大きさの雪洞が完成した。雪洞内はやはりあたたかい。ただ少し狭いからか、気が抜けたからか、お湯をこぼしたりしてしまった。生活技術をもっとつけなければならないと思ったが、雪洞は雪もすぐ外に出すことができるし、結露も少なく濡れたものが少なかった。この日はかなり疲れており、思ったよりも悲壮感がある。これまでのかかった時間を見ると明日登頂できるかギリギリであるかと思われたが、一度寝てから考えることにした。

 

18日

 冬山ではどうせ熟睡はできない。そのため2時おきして体を温めながらゆっくりと準備をすることにした。冗談のつもりで準備に3時間かけようといったが、なんと3時間半もかかってしまった。ただその間に心の準備ができてきて、みんな元気になり登頂できる気分となってきた。晴天も見込まれるのでリミットを厳守してアタックをかけることに。ワカンを締めて進んでいくも、平均的にはすねあたりしか埋まることはなく、昨日よりも格段にペースが良い。風の影響が大きいのだろう。P2直下は2段ほど雪崩斜面となるような斜度であった。ゾンデを刺したが弱層は見当たらなさそうなので、一人ずつ足早に行動して上ることにした。1段目は斜度のある所をステップをきり、雪を崩しながら登る。2段目も雪で埋まっていたが、岩が見え隠れするようなところもあった。確かにここは雪が少ないと大変そうだ。順調に3人登ってP2に立つ。後ろを振り返ると3つほどのヘッテンが。全員当日スタートのソロ行動だ。もう追いつかれたのかと思うと少し残念な気持ちになったが、自分たちのペースで登り続けるしかない。P2後はナイフリッジが出てくる。ここでアイゼンに履き替え足回りをすっきりさせて通過することに。誰も怖がっている様子はなく安心する。ナイフリッジを通過したあたりでついに、スノーシューのお兄さんに追い抜かされた。速すぎる。P1手前、矢沢の頭は白沢天狗尾根が合流するところで東尾根が消えるのだが、ここは変にトラバースすることをせずに疎林の中をほぼ直登した。P1に立つと、山頂までのビクトリーロードを先行者がどんどんとトレースをつけている。急げ。2500m付近の遭難者のテントの残骸を横目に進んでいく。途中で雪が深くなり、ワカンに履き替える。この時に後ろから追いついてきた人はなんと記録で見た先週2回チャレンジしている人だった。執念がすごい。その後、スノーシューのトレースの恩恵に多少預かりつつ、雪崩斜面や雪庇が出てそうなところを避けつつ、登頂した。想像よりもかなり速いペースで、雪を積もり具合で時間読みは大きく変わることを再び実感した。山頂で景色を見ながらたっぷりと休憩したのちに、下山することにした。下山時には多数のパーティーとすれ違う。みんなトレースありがとうございますと声をかけてくる。むしろトレースをつけてしまって、楽しみを奪って申し訳ないという気持ちと、感謝をもらうためにやっているわけではないのでなぜか複雑な気持ちになる。僕らを除き18名の入山者がいたようだが、こんな人気ルートへ行くはずじゃなかったと少し消化不良な気持ちになりながら、踏み固められた道を足早に下りた。さすがに物足りないという思いからイグルー作りに挑戦したが失敗した。何度動画見てもうまくいかない。実践向きじゃない。下山してからも満足感が足らずに、翌日上高地を散歩して帰京した。

 今回の山行の目的に照らして考えると、冬山バリエーションというにはロープの練習にはならなかったが、高度な東西尾根のルート選びは樹林帯にはない慎重さが求められて良い山行となった。ラッセルは金曜入山が功を奏して、十分に楽しむことができた。

元気に登りますよぉ

ノートレースを行けるのが平日動ける学生の強み(?)

景色が見えると本当に気持ちが良い

つきましたよ。P3.雪面が固くなってますね

月夜を歩く

ナイフリッジ。後ろに追いつかれる!

雪崩危険ゾーンを抜け一安心

爺が岳、中峰、北峰。やんばいね

思ったより早く着いちゃった!

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