剱岳3 本峰南壁A2

未分類

日程・行動概要:2022年8月21日 熊ノ岩~本峰~南壁A2~本峰~熊ノ岩~剱沢

メンバー・学年:K岡Ⅱ、文一Ⅱ、スナメリⅡ

8月21日。本峰南壁へ向かう。左俣を登るが、一面ガスでテンションは上がらない。30分ほど歩いたところで雪渓が割れ始める。割れ目を一つ通過してみるが、その上にもさらに割れ目が出ている。ガスで視界が効かないが、上部まで割れているだろう。やむなく引き返す。少し下った場所で左岸にルンゼが走っていたのでこれを登って左俣と右俣の間の緩傾斜帯に出る。このルンゼにもハーケンが残置されている。自分たちのように左俣を通過できなかった人がエスケープしてくるのだろうか。ルンゼを登りきると青空が見えてきた。振り返ると雲を従えた鹿島の双耳がクールだった。稜線に出てから南下して長次郎のコルへ。急な岩場をクライムダウンする。さらに南下して本峰山頂を踏んでから平蔵のコルまで降り、南壁基部のザレ場をトラバース気味に下ってA2とりつきを目指す。周囲が再度雲に包まれる中、A2と思しき岩稜を見つける。1P目、K岡リード。雪渓と壁の間でビレイしてもらう。クライミングとしては難しくないが、岩が欠けやすく、濡れていて注意を要する。残置の数は八ツ峰Ⅵ峰より少なく、カムとナッツがないと不安がある。重く濡れたロープを引きずって登り40mほどでピッチを切る。2P目、スナメリリード。A3側にラインを引いた。3P目、スナメリリード。逃げずにクラックを攻めるスナメリ。高度感のあるリッジを登り、終了点のピナクルに着く。とても楽しいピッチだった。少し雲が晴れ、自分たちがいるのが間違いなくA2だと分かって安心した。4P目、文一リード。傾斜が落ちたもろいリッジに達し、すぐにピッチを切る。この後はノーザイルでA1側からリッジをまくように登り、ガレ場を歩いて本峰に出た。距離は短めだが、Ⅵ峰よりアルパイン的で面白かった。稜線を北上して長次郎の右俣・左俣間を下降し、熊ノ岩着。時折ガスが出てルーファイに気を使ったが、熊ノ岩に着くと陽が差してきた。テントを乾かそうと長めの休憩をいれてから撤収し、長次郎谷を下る。熊ノ岩の下の割れ目は右岸まき、出合の割れ目は左岸まきで剱沢に出る。出合の割れ目にかろうじてかかっていたスノーブリッジは跡形もなかった。剱沢を登っていくと、行きにはなかった直径10mほどの大穴が雪渓の中央に空いていた。大穴を左岸から慎重にまく。雪渓の中央にニッコウキスゲの橙色の花が咲いていて驚いたが、よく見ると雨で地面ごと株が流されてきていた。ここ数日の雨で雪渓のコンディションも行きとはかなり変化していることを実感する。武蔵谷と別れてからアイゼンを脱ぎ、合宿本隊が待つ剱沢へ夕暮れの中を歩いて行った。

長次郎谷左俣の雪渓。断裂して通行困難だった。

 

南壁A2、1ピッチ目終了点より振り返る1ピッチ目。

 

南壁A2、2ピッチ目。

 

南壁A2、3ピッチ目。クラックを攻める。

 

南壁A2、4ピッチ目。この先はノーザイル。

 

剱沢雪渓の中央にあいた大穴。行きに通った際にはなかった。

 

翌日、別山尾根から撮影した本峰南壁。右からA1、A2、A3、A4とリッジが走る。

記:K岡

コメント