荒島岳 地獄谷

未分類

日程・行動概要:2023年8月1日 鬼谷〜地獄谷〜クズハキ谷〜荒島岳

メンバー・学年:K岡Ⅲ(記)、スナメリⅢ

 1980年出版の「関西周辺の沢」で北陸の険谷として紹介されている荒島岳地獄谷。遡行グレードは4級!ネット上の記録でも直登、巻き共に悪いという記述。果たして歯が立つのかわからないまま、緊張と期待を胸に荒島に向かった。

 8月1日、4時起床、身支度して駐車場をあとにする。養魚場まで歩いてから入渓。堰堤が出てきて左からまき登るが、有刺植物の藪漕ぎを強いられ不愉快極まりない。とても蒸し暑い。オロロは体の周囲を渦のように取り囲み、次々と肌を噛みちぎっていく。気が狂いそうなくらい不快な状況に、開始30分にして「ああ、もう帰りてえ!」と叫ぶスナメリ。その後も二つほど堰堤を巻くが少々面倒だった。二人ともすっかり萎えたころに地獄・極楽の二俣となり、滝が出てきてまともな遡行が始まる。

 水量は少なめだが、滝の一つ一つに腰程度の深さの釜がある。水は中々冷たく気持ちいい。遡るうちにオロロも姿を消し、ようやく平常心で遡行できるようになった。側壁から次々と滝が落ちるが、本流は手頃な滝が続いて飽きない。6mのCS滝は右岸をまき、クライムダウンが少し悪かったものの、ほとんどの滝が楽しく直登できる。

 7時、予想外に早くツノ滝谷出合についてしまった。ペースが早すぎる。ここまでの登りで特に難しい場所はなかった。こんな順調でいいのか戸惑いつつ、文句をいうわけにもいかないので遡行を続ける。

 斜滝5mはナメ状だが、ちょうど手すりのように倒れかかった倒木のおかげでノーザイルで突破。トゲ藪漕ぎとオロロによる不快極まりない序盤から一転、このホスピタリティの高さは一体なんなのだろう?どうやらただのツンデレの沢らしい。

 CS7m滝は念のためロープを出し、左壁を登る。岩と泥と草の登りだが難しくはない。結局ここが唯一ロープを出した場所だった。その後正面に見える35m滝は支流で、左折する本流を遡る。トイ状20m滝は高さがあるものの易しいのでノーザイル。谷の傾斜はさらにきつくなり、小滝が連続する。頭から水をかぶってのシャワークライミングが爽快だった。

 水がきれ、ルンゼを詰める。左の支流を選ぶと涸滝もなくノーザイルのまま尾根にトップアウトした。ここから尾根上の藪漕ぎが核心だった。登る者を押し返す下向きの笹藪。シャクナゲの薮は通過すらできない。右の支流を選んで少しでも藪漕ぎを短くすべきだったと後悔するも時すでに遅い。ただひたすら忍耐を続けるのみ。2時間半の藪漕ぎで山頂にでた。暑さで脱水症状気味だ。おぼつかない足取りで登山道を下った。滝の処理よりも藪漕ぎが核心の沢だった。

ツノ滝谷を右に分けてクズハキ谷に入った場所。奥に支流の35m滝が見える。

源流部の20mほどの斜滝。ノーザイルで登れた。

源流部の小滝をシャワークライミング。

遡行図

コメント