戸隠 西窟尾根〜八方睨

クライミング

日程・行動概要

2024年1月19日:4:00戸隠神社〜13:40西窟

2024年1月20日:5:00西窟〜8:30八方睨〜9:00戸隠山〜11:20西窟〜13:40戸隠神社

メンバー・学年:K岡Ⅲ(記)、スナメリⅢ、ラムちゃんⅡ、ドロさんⅡ

 19日、3時過ぎに戸隠神社着、4時出発。踏み固められた雪の参道を進み、神社の手前で左に逸れる。西窟尾根目指して斜面にとりつくが、前日の雨につき湿雪でラッセルが重い。尾根上に出て次第に明るくなるが、雲に包まれて寒々しい。なおもラッセルを続けると核心部の岩場に着く。ワカンからアイゼンに履き替え、K岡リードでロープを出す。

 正面のカンテ沿いにとりついてみるが傾斜が強くてしんどい。ドラツーに自信があれば一番素直なラインどりだが、ランナウトしたまま登り続ける自信がなくてやめる。岩を左からまくラインをのぞくが、懸垂1ピッチからのトラバースとルンゼ登攀が待ち受けている感じで割に時間がかかりそうだ。カンテ右側壁に残置が見えるのでこのトラバースを試す。バイルをでランナーとってから、岩に積もった雪をある所では崩し、ある所では崩さぬようにそっと乗り、残置ボルトにクリップ。その先数歩のトラバースは微妙すぎて突っ込めず、残置スリングの世話になって振り子でトラバース。さらに草付きに移るべく、四つん這いみたいな訳わからん姿勢で数歩のトラバースを切り抜け、最後は急な草付きを直上して太い木でピッチを切る。草つきに移る所でイボイノ決めてエイドしたいくらいだが、セット中に力尽きてフォールしそうだし結局ボルトからランナウトしてしまった。落ちてもたぶんボルトで止まるが、割に必死のリードになった。残置頼みになってしまったのは悔しいが、そんなこと言ってる余裕もなく。トラバース気味なのでフィックスして2回生二人はアッセンダーでフォロー。ラストのスナメリもロープ末端でフォールすると振られるので、懸垂の要領で出発点の立木でロープを折り返し、回収可能なフィックス状態にしてフォローする。最後にロープ回収と同時にK岡のザックを荷上げ。ロープが絡むなどして結局この1ピッチに3時間ほど要したが、現場の状況に合わせてほぼ最善のロープシステムを考えられたのは悪くなかった。

↑西窟尾根の核心部。悪いトラバースをフォローする。

 またこんなピッチ出てきたらやばいけど、いつもの展開的に出てくるんだろうなあ、やばいなあと思って歩き出すが、結局出てこなかった。少し先の岩場はスナメリリードでやや左側を直上。その先は細かいアップダウンで少しルーファイがいる所もあるが大きな難所はなく、地味に長い登りラッセルを続ける。不意にガスの向こうに大きな岩峰を見る。今日のテントサイト、西窟だった。14時前と早い到着。明日はともかく、ひとまず今日を乗り切った開放感に笑顔が溢れる。

 翌日の偵察をしてからテントでラム酒を飲んでいると、もはや動く気が起きない。やっぱり早めに行動が終わると余裕あっていいなあと実感する。夜は気温も下がらず、軽量化重視で持ってきた夏用シュラフでちょうどいいくらい(嘘です、流石に寒かったです)。

 20日、3時半起床、5時発。昨日つけておいたトレースを辿り、稜上に復帰してから鎖場に出る。鎖にセルフビレイをとりつつ通過し、その先も短い岩場や雪の急登が続く。空が白む頃に蟻の戸渡の下の鎖場に到着。上部の岩場がやや急なのでスナメリリードでロープを出す。アンカーは鎖でとれた。

 その上を少し登ると蟻の戸渡が一望できる。主稜線まで細いリッジが60mほど続く。スナメリにロープを託すと、リッジ上をするする歩いていき、50m弱伸ばしてブッシュでアンカーをとる(後でボルトがあるのを発見。戸隠といえど登山道は残置が多い…)。フォローしてみると細いけど意外に歩ける。雪が安定してれば右側の雪面もトラバースできそうだが、まあつまらないだろうな…。1ピッチ目フィックスしてから2ピッチ目をK岡が伸ばす。一箇所細い所があるが他に特に難所はなく、リッジ抜けてなお歩き続け50m弱伸ばしてフィックスした。

↑蟻の戸渡のリッジを歩く

 最後の急登をこなして八方睨に出る。特にこだわりもないが、時間が早すぎるという理由で戸隠山を往復する。9時に山頂に着くとは、予想外に順調で嬉しい。本院岳、西岳、九頭竜、高妻、乙妻、白馬三山があたかも洋上の島のように雲海からぽっかり頭を突き出していた。

 あっという間に雲に沈んだ山頂と別れ下山開始。2ピッチ分のフィックスを回収してから1ピッチ懸垂し、時折クライムダウンしつつ西窟着。テント撤収してから岩壁基部をトラバースして尾根上を下り、あっけなく奥社に出た。参道には観光客が多く、自分たちが浮いているのを感じさせられた。

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