大変遅れました!GWに実施した剣合宿の報告です。
山行日
2016年4月30日から5月6日
参加者
六車(CL・交通、3回生)、谷川(SL、3回生)、酒井(雪練、3回生)、青木(装備、2回生)、秋本(気象、2回生)、川口(食糧、2回生)
計6名
山域・山名
劔・立山
目的
現役の雪上での技術をより確実なものにするために綿密な雪上訓練を行う。2回生は1回生に雪上訓練を教えられるレベルまで持っていく。
残雪期のピークハントを行う。
劔の基本的な概念を把握し、雪の劔に思いを馳せる。
行動記録
4/30 六車・谷川・酒井入山
天気:剱沢、晴れのち曇りのち雪(強風)一晩で50cm積雪
室堂ターミナル08:30—雷鳥沢キャンプ場09:40—12:00劔御前小屋—12:40剱沢BC—14:10テント設営完了—15:30行動終了
六車・谷川・酒井の3名で入山。室堂ターミナルでの人の多さにうんざりする。室堂の富山県警山岳警備隊派出所にて入山の旨を伝える。劔御前南陵での雪洞泊はやめて欲しいと言われる。事前申請で計画書に雪洞泊と書いてあるのだから、ダメならダメで事前に言って欲しかった・・・ 午前中は天気もよく、暑い暑いと言いながら雷鳥沢を登る。が、別山乗越(劔御前小屋)についた瞬間風が猛烈に吹き荒れる。雪も混じっており、一旦劔御前小屋に避難。劔御前小屋にいらっしゃった山岳警備隊の方とも話し、今後は悪化傾向なので剱沢に下りてさっさとテント設営をすることにする。剱沢を下り、BC構築。その後、別山北尾根の斜面で雪練をやろうとするが、視界ゼロで強風雪混じりのため、前日の大量降雪で埋まったトイレを掘り起こし、行動終了。
地獄谷にて。地獄感をだす。
剣沢BC
5/1 青木・秋本・川口入山
天気:剱沢、雪(強風)、雷鳥沢、曇、視界悪し
06:20起床—08:50行動開始—10:10劔御前小屋11:52—12:40剱沢BC(行動終了)
昨夜は夜通し強風、大雪でよく眠れなかった。23:00ごろに強風でブロックが崩れる。雪もかなり降り、テントラッセルを2時間毎に行った。この一晩での降雪量はBC周辺で50cmくらい。昨日苦労して掘ったトイレはキレイに埋まっていた。今日は2回生入山のため、雷鳥沢キャンプ場まで迎えに行く日であるので、とりあえず携帯の電波が入る劔御前小屋に向かう。ブロックを作りなおして出発。劔沢は視界20mくらいで風も強い。GPSとルート旗を頼りになんとか剱御前小屋にたどり着く。小屋の人に13:00頃からまた天気が悪くなるとの情報をいただく。雷鳥沢を下りて、剱沢の戻ってこれない可能性があるため、2回生には雷鳥沢キャンプ場で待ってもらい、3回生パーティは剱沢BCに戻ることにする。BCでは相変わらず風は強い。ブロックをより頑丈にして行動終了。剱沢TSは我々のテント以外に一張のみであった。雪は夕方頃には止んで、テントラッセルはなかった。雷鳥沢TSはホワイトアウトで視界はなかったが、風はなかったらしい。
視界が悪い中、コンパスを切って剱御前小屋を目指す。
5/2 2回生と合流、雪練
天気:剱沢、晴れ、視界良好
02:30起床—04:30出発—05:15劔御前小屋05:30—06:00雷鳥沢TS07:20—08:55劔御前小屋09:10—09:30剱沢BC—雪練—16:00行動終了
朝起きると風がかなり落ち着いていた。視界は200mくらい。ブロックを作りなおして出発。剱沢を登っている時に雷鳥を5羽見かける。癒やされた。劔御前小屋に着く頃には風も止んでいた。雷鳥沢TSにて2回生と合流し、雷鳥沢を暑い暑いと言いながら登る。剱沢を下りると剱岳がバッチリ見える。天気がかなりいい。剱沢BCにもう一張テントを設営し、トイレを掘り、別山北尾根で雪練をする。アイゼンでキックステップ登高、クライムダウン、トラバース、ダイヤモンドトラバース、そして滑落停止訓練を行う。基本的に2回生が1回生に教えられるようにするため、研修方式で2回生が3回生に教えるカタチで雪練を行った。その後、雪洞製作訓練を行うが、時間切れで完成できず。6人用とかなり大きな雪洞を作ろうとしたことと、斜度があまりないところで作ろうとしたこと、また、パーティでビジョンをうまく共有できなかったことが原因だと考えられる。この日、我々の隣にテント設営していた方はスキーで剱岳まで行ったらしいが、平蔵谷、長次郎谷、剱沢はデブリだらけだったとのこと。しかし、雪は豊富だったらしく、カニのヨコバイ・タテバイを巻いてルンゼ(名前は忘れた)経由でピークに行けたらしい。剱岳スキー、憧れである。
雷鳥沢を上がる。暑かった・・・
立山三山方面。昨日、一昨日降雪で雪が豊富。
5/3 雪練
天気:雷鳥沢、快晴、曇、雨
03:00起床—05:30出発—05:50劔御前小屋06:00—07:00雷鳥沢TS(BC設営)—08:30雪練開始—15:10行動終了
今夜、ヤマテンの情報より暴風雨の大荒れの天気予報のため、剱沢BCは撤収し、雷鳥沢TSに逃げることにする。朝飯のオートミールは大変不味かった。吐き気がした。劔御前小屋まで快適に登っていたが、雷鳥沢の下りは風が強かった。防衛大山岳部と雷鳥沢にてすれ違う。雷鳥沢TSはほぼ下界であった。TS横の斜面で雪上支点構築、ロープワークの訓練を行う。二人一組で雪上支点構築を研修方式で確認していく。スノーバー縦埋め、横埋め、土嚢袋を試す。その後、雪上での確保技術として、腰がらみ、肩がらみ、スタンディングアックスを確認する。そして、実践的に雪斜面でロープを張る。往復3回行った。最後に6人全員で本合宿中実際にする可能性のあるfix、懸垂を行い、行動終了。雪練中、どんどん天気が悪くなっていった。天気図からも明日は沈殿とした。夜中雨が降り、風も強かった。
雷鳥沢TS横の斜面で雪練。防衛大山岳部さんもいました。
5/4 沈殿
天気:雷鳥沢、雨、曇、晴れ、雪
日中は稜線では風は強そうだが、雷鳥沢BCでは天気は良かった。行動できたかもしれない。一日中寝たり、トランプをしたりと時間を潰す。19:00頃から雪が降っていた。
テント内でトランプ。沈殿もたまにはいいよね。
5/5 劔御前アタック
天気:剱御前小屋、曇、視界悪し、強風、ホワイトアウト、夕刻より晴れ
04:30起床—06:20出発—08:00劔御前小屋09:00—09:15劔御前手前P2792—09:30劔御前小屋—10:40雷鳥沢BC—(3回生で奥大日岳偵察)—16:00行動終了
立山縦走を行う予定で出発。出発時天気は良かったが、劔御前小屋に着く頃は風も強く、視界もなくなっていた。立山縦走は断念し、劔御前アタックをすることにする。劔御前ピークにたどり着いたつもりだが、後で確認したら、手前のP2792であった。その時は劔御前ピークを踏んだつもりで雷鳥沢BCに戻る。15:00ころまでテントで待機していると、天気が良くなってきたため、明日にアタック予定の奥大日岳を3回生で偵察に行く。室堂乗越まで行き、稜線の様子を見た。その頃には天気がかなり良くなっていてそのままピークまで行けそうであった。BCに帰って酒井、谷川はコンテの確認をしていた。また、専修大学山岳部と会い、一昨日奥大日岳に行っていたそうなので様子を聞いた。雪はかなり少なく、ヤブを漕いで行ったようだ。
剱御前手前P2792。この時みんな剱御前ピークにいると勘違いしています。
5/6 奥大日岳アタック、下山
天気:午前中は曇
03:30起床—05:12出発—05:30新室堂乗越—05:45室堂乗越—08:05奥大日岳—10:25雷鳥沢BC(撤収)11:40—12:30室堂ターミナル(下山)
今日は午前中だけ天気が持つようなので奥大日岳アタックを行うことにする。風も弱く、高曇りでアタック日和であった。劔はもちろん薬師や槍まではっきり見えていた。P2511からP2611の間の雪庇が崩落しているところをロープで1ピッチfixする。奥大日岳ピークは雪がなかった。その後、テントを撤収し、室堂へ下山。室堂に着くまで天気は持っていた。
雪庇の付きが怪しいところをfixする。
奥大日岳ピーク。剣がバッチリ見えてた。
反省・感想
今年は天気の悪いGWだった。結局踏めたピークは奥大日岳のみとなってしまった。そこは残念である。その代わり目的の1つである雪上技術の確認は十分出来た。ただ、雪洞製作は最後までできなかった。2回生は未だに雪洞泊の経験がない。今後の課題である。
今回は携帯の電波が通じたため、ヤマテンで天気予報を随時確認できたので天気読みはやりやすかったが、天気図だけをみて、天気は良いだろうと思われる日(特に5日)も天気は悪いことがあり、やはり標高の高いところは地上天気図だけでは天気は予想しにくいことが実感された。地形的な風の強弱や高層天気図から天気を読む技術を今後つけていきたい。ちなみにヤマテンの予報は見事にあたっていた。昨年度2月の八ヶ岳合宿の反省点である積極的な天気待ちができていないかったことは改善されたのではないか。2回生は初の沈殿の体験となった。GWとはいえ、雪が降り、暴風で凍えそうな日もあれば、暑くて仕方ない日もあり山の難しさ・厳しさをより実感する合宿であったと思う。
写真はこちら。
文責:六車
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