遠見尾根〜五龍岳 アイゼン合宿

合宿

日程・行動概要:11月22日〜24日

11月22日 5:30スキー場〜11:00地蔵の頭〜15:00中遠見山〜15:30TS(中遠見山西側のコル)

11月23日 5:10TS発9:30五竜山荘〜11:30五竜岳〜13:40五竜山荘〜16:40TS

11月24日 5:30TS発〜7:20地蔵の頭〜12:00スキー場

メンバー・学年:K岡Ⅲ(記)、スナメリⅢ、トーカⅡ、ラムⅡ、池見Ⅰ、小田Ⅰ、加納Ⅰ、くいにげⅠ

 

 22日、ゲレンデの急登は雪に覆われていた。昨年より雪は多いらしい。暗かった空は次第に明るさを帯び、ヘッデンをしまってサングラスとワカンを取り出す。重い湿雪と重いザックに十分削られたころに休みをとる。遅刻者を待つべく、ゲレンデで雪上訓練。ビーコン捜索を行う。訓練を終えて出発する頃に遅刻者が合流し、8人のメンバー全員が集合した。

 再び進軍を続け、地蔵の頭から五竜を望む。武田菱の右のG0は予想外に急なリッジで割に難しそうだ。この人数では厳しいか。ゲレンデを抜けて尾根を辿るが、踏み抜きがひどくてトップは苦労する。積雪はひざ程度で獣の他にトレースはない。小遠見山に着く頃には皆かなりへとへと。緩い下りと登りを繰り返して中遠見山に立ち、その西側のコルで行動を打ち切った。予定していたTSまで届かなかったが、時間的にも体力的にもここまでが限界だった。

 整地があまく床が波打つテントに8人集って夕食をとる。ラジオを聞いて天気図をかくと、高気圧が南東にぬけ、低気圧が日本海へ東進している。明日の日中はどうにか持ちそうだが遅くなるほど西風から北風へとシフトし、稜線上は宿命的な吹雪になるだろう。時間との戦いだ。明日はできるだけ早出して短時間でアタックを終え、可能ならTSを下げて、明後日吹雪の中下山しつつ雪上訓練という方針を立てる。しかしもちろん翌日のアタックは短時間では終わらなかった。

↑朝焼けの五竜

 23日、3時半起床、5時過ぎ出発。ヘッデンの明かりが一列になって尾根を辿る。西遠見山をすぎると樹林がきれ、開放的な雪の尾根となる。白岳沢側は急だが緊張する場所はない。モナカ雪に足を取られながら先頭を回し、白岳を登り切ってから五竜山荘まで下って休む。ワカンなどをデポして山頂に向かう。

↑白岳から五竜へ

 アイゼンで夏道をたどる。西風が冷たいが目出帽をつければつらいほどではない。トラバース部分は雪が少ないので雪崩の心配はないが、クラストしているのでフロントポイントで通過。岩場の弱点をついた夏道を忠実にたどり最後のひと登りを終えて山頂に立つ。

↑山頂へ最後の登り

 眺めが良く鹿島北壁、黒部別山、剱、毛勝、坊主尾根など挑発的な山々はいつまでも見飽きないが、時間も押しているので集合写真をとって下降開始。クラストしたトラバースは登りより下りの方が怖く、1回生には気を遣う。ロープを出せる場所ではないので、後続のためにアッズでステップを切る。山荘に戻るまでに中々時間がかかった。アイゼンを外してワカンに履き替え、白岳へ登り返してからひたすら尾根を下る。太陽は稜線の背後に消え、残照の空に月が光る頃にTS着。辛うじてヘッデンは使わずに済むも、TSは下げられなかった。丸1日好天に恵まれたことに感謝。

 24日、4時起床。テントの外は雨が降り、風は時折ふく程度。吹雪下山を期待していたので少し残念。荷物をまとめ、ヘッデンの明かりで尾根を下る。雨に打たれてトボトボ歩いていると敗残兵の一群のようだ。寂しさがしみる。下るほど雲が切れていく。

 ゲレンデトップで雪上訓練。埋没者2名のビーコン捜索、支点構築(スノーバー、デッドマン、土嚢袋、スノーボラード)、ビレイ(腰がらみ、スタンディングアックス)を一通りこなして終了。ひたすらゲレンデを下る。雨で雪が溶けかけたゲレンデは滑る。グリセードする者、マットをソリ代わりにして下ろうとする者、転がっていく者、側溝に落ちる者。個性あふれる下山の風景だった。

コメント